あなたは「ステマ」という言葉をご存知ですか?

これは商品の広告に関する言葉なんですが、知っておかないと、うっかり不当に高価な商品や粗悪品をつかまされてしまう恐れがあります。

また、「ステマ」を間違って使っている方も見受けられます。

そうならない為に、ここで正しい意味や使い方をお教えします。

「ステマ」の意味とは?

「ステマ」とは、「本当は広告であるのに、広告でないふりをして商品の宣伝をすること」です。

たとえば、インフルエンサー(影響力を持ったタレントや芸能人、ユーチューバーなど)に報酬を与える代わりに、ブログやインスタグラム、youtubeなどで、商品の宣伝をさせる例が挙げられます。

この場合、宣伝であることを隠して、「私のお気に入りの新商品です」と紹介しているのが問題なので、提供品であるとかタイアップしているなどとあらかじめ明言していれば問題ありません。

実際のステマ(事件)

企業の製品のほか、映像作品や飲食店の評判を不当に高める行為も「ステマ」になります。

「ステマ」がもっと巧妙に行われるのは、映画やテレビでメーカー名のロゴが目立つ商品がさりげなく配置される、人気俳優・女優がブランド商品をさりげないふうに身に着けるなどの例です。

視聴者はほとんど無意識のうちにこれらの影響を受けています。

日本のステマ1

「食べログ」というサイトでは、専門の業者が飲食店から広告料を得る代わりに、高評価のコメントをたくさんつけて店の評判を不当に高める事件がありました。

日本のステマ2

ベニー・オークション詐欺事件では、1000万円になるまで落札できない商品の入札料を被害者からだまし取り、主催者は詐欺罪に問われました。この事件では、数名のタレントが報酬を得て、低価格で落札したとブログでうそをついていました。

海外のステマ1

海外の「ステマ」の事例を見てみましょう。

2002年、海外で、ソニー・エリクソンが多数の俳優に旅行客を装わせ、通りがかりの人々に自分たちの写真を新製品のカメラ付き携帯電話を渡して撮ってもらい、人々の興味を引くことに成功。

カメラ機能の付いた携帯は、当時まだ人々に知られていなかったため、このように実際に使ってもらいながら評判を高めたことで、正式な広告を打つ前にもかかわらず、製品の認知度が急上昇しました。

これが先例となって、口コミ情報による安価な宣伝手法に追随するものが続々と出てきました。

海外のステマ2

ソニー・ピクチャーズが新作映画の評価を高めるため架空の映画評論家を使い絶賛させた。

海外のステマ3

スーパー大手のウォルマートの評価を高めるため、一般人を装ったカップルの旅行客に全米各地のウォルマート探検記をブログに書かせて宣伝効果を高めた。

海外のステマ4

ブラックベリー社が自社のスマホを宣伝するため、魅力的な女優数名に客を装わせ、数か所のバーに向かわせる。男性客とさりげなく仲良くさせる。彼女たちのスマホを手渡して電話番号を入れてもらいデートの約束。

女優たちはその後、実際に男性たちにに連絡を入れることは決してなかった。

「ステマ」の各国の法律や規定

「ステマ」に対する処罰規定ですが、海外では、アメリカやイギリスなどでガイドラインや規制法で違法性が明記されており、処罰される可能性があります。

アメリカ

アメリカでは、「広告における推薦及び証言の使用に関するガイドライン(2009年)」の中で、「欺瞞的であってはならない、誤解を招くものであってはならない、虚偽の説明を避けること」などの規定があり、違反すると処罰されます。

広告における推薦及び証言の使用に関するガイドライン(2009年)

イギリス

イギリスでは「不公正取引からの消費者保護に関する規正法(2008年)」で「ステマ」が違法になりました。

不公正取引からの消費者保護に関する規正法(2008年)」の第11項と第22項

BBCによる解説

日本

日本では、景品表示法のガイドラインにより、ブログなど口コミ情報の中で商品に関する記述が「著しく優良であると消費者に誤認させる」場合は不当表示として問題になる、としています。

いずれにせよ、グレー・ゾーンの事例が多く、日本では「ステマ」が実際に処罰されるケースはまれなようです。

「ステマ」がなぜ悪いのか?

「ステマ」がなぜ悪いのかという理由ですが、芸能人が報酬を得ていることを隠して衣服や化粧品を宣伝するのも、企業内部の人間や委託を受けた業者がネット上で自社製品の評価を高める行為も、商品やサービスについての消費者の正常な判断を妨げるからです。

広告であることが最初から明示されていれば、消費者はそのようなものとして冷静に判断できますが、そうでないと口コミ情報を過度に信頼してしまうでしょう。

「ステマ」の語源は?

「ステマ」は「Stealth Marketing(ステルス・マーケティング)」の略で、日本だけで使われます。

語源の「ステルス」は「こっそり行うこと」の意味ですから、「ステルス・マーケティング」はこっそり行う宣伝活動です。この他、「ステルス・キャンペーン」と言う言葉は、秘密裏に行う選挙運動の意味になります。

また、「ステルス」には、「レーダー補足の」という意味もあります。「ステルス戦闘機(stealth fighter)」は敵のレーダーに見つけられにくい「ステルス・テクノロジー(ステルス技術)」を用いています。

Stealth Marketing(ステルス・マーケティング)の発祥は?

海外のサイトでも特定できませんでした。「ゲリラ・マーケティング(ジェイ・コンラッド・レヴィンソン)1984年」という本の中で「stealth marketing」という言葉が使われたのが最初のようですが、定かではありません。

「ステマ」に似た言葉

「ステルス・マーケティング」の代わりに次のような言葉が使われることもあります。

アンダーカバー・マーケティング

秘密裡に行われる宣伝活動を意味する「アンダーカバー・マーケティング(undercover marketing)」。これは「ステルス・マーケティング」と全く同じ意味で使われます。

バズ・マーケティング

売り出し前の新製品についてのうわさをバズらせるための「バズ・マーケティング(buzz marketing)」。口コミによる拡散を重視した宣伝です。

バイラル・マーケティング

口コミ情報がウイルスのように感染して広まっていく「バイラル・マーケティング(viral marketing)」。これも口コミによる拡散をウイルス感染に例えた言い方です。

サクラ・やらせ

日本では「ステマ」が使われる前から「サクラ」という言葉があり同じ意味で使われてきました。

サクラは「お客さんに物やサービスを買わせるために、客になりすまして商品を良く見せようとしたり、商品が人気名ように見せることをする人」です。

現代のステマも同様のことを行っているのを見ると同じ意味で、「ネットに特化したサクラ」がステマといえます。

ステマの使い方と例文

宣伝であることが明らかであれば、自分が気に入らなくても「ステマ」と言うのは間違った使い方です。

インフルエンサーが行う宣伝を見て

・このタレントがインスタで紹介するアイテムは絶対買わない。すべてがステマだわ

・ユーチューバーの商品紹介動画見て、つい買ってしまったけどステマのような気がする

評価サイトを見て

・この本、なんで高評価ばかり並んでいるの。ステマの気がする

・高名なブロガーの評価が高いから、この店に行ってみたけど、おいしくなかった。ステマっぽい

「ステマ」の誤用例

・テレビのコマーシャルってステマだらけだよね

・〇〇押しは電通のステマだ